Tuesday, November 14, 2006

映画「Capote」

日曜の午前中に,えらく空いている恵比寿ガーデンシネマで,一人で見た.Capote役のフィリップ・シーモア・ホフマンは確かに凄かったというか, John Malkovichタイプの怪演だった.Harper Lee役のCatherine Keenerも素晴らしい.Chris Cooperは好きな役者だが,まあ今回はいつも通りのChris Cooperで特筆するほどのことは無いかなあ.
映画全体としては,チケット 代の価値は十分あったけれど,「冷血」を仕上げたあとのCapoteがなぜ書けなくなったのかということについては,十分に説得的に説明しきれてはいない という気がする.ただまあ,実際にCapoteの精神状態に何が起こったかについては,結局,憶測でしか語ることはできないのだろう.また,この映画を見 てから改めて考えると,「冷血」はノンフィクションというには,フィクションの部分がかなり多いといわざるを得ない.今日の基準でノンフィクションという ならば,あそこまでCapote自身が事件にのめり込んで書いている以上,著者としての立場についての何らかの自己言及が必要なはずだ.でもまあ,それで「冷血」の文学的価値が損なわれているかというと,そんなことはまったくなくて,そこが難しいところではあるのだが.