Saturday, August 11, 2012

男子サッカー・女子バレー

日韓関係が緊迫している最中,男子サッカーは完敗,女子バレーは完勝.日本の金メダルは,内村航平の体操個人総合以外はすべて女子の格闘技.日本のスポーツの比較優位が女子にあるのは明らかか.

Friday, August 10, 2012

ヘルタースケルター

研究室の掃除をしていたら10年前に買った漫画が出てきたので,帰りの電車の中で読み返す.確か2003年に在外研究でNYに行った時に,何冊か岡崎京子の漫画を試しに買って向こうで読んだ覚えがあるのだが,結局どれもピンとこなかった.多分,PINKが一番面白くて,リバーズ・エッジとヘルタースケルターはダメだった.

ヘルタースケルターは,ストーリーテリングに長けた他の漫画家なら半分以下の長さで始末をつけられるはずの内容である.個人的には,岡崎京子は「雰囲気」の漫画家だと思っている.私が東京にほとんどいなかったバブル崩壊の前後から1990年代末にかけての,東京のサブカルに思い入れがある人の中には,この「雰囲気」が好きな人がいるのだろうと想像する.そういうスタイルやジャンルを否定はしないが,リバーズ・エッジやヘルタースケルターでは,作者が雰囲気ではなくストーリーの方に大きなウェイトを置いていて,その割にストーリー自体も,その語り口も凡庸なので,彼女の漫画の「雰囲気」に思い入れがない人間からすると,作品としては残念なことになっている.

映画も見に行く気が起きない.そもそもお盆休みは,まず「裏切りのサーカス」と「ダークナイト・ライゼズ」を見なきゃならないので,それでお腹いっぱいだろう.

女子レスリング・女子サッカー

個人的には,重量級という日本人には不向きな階級で看板をずっと背をってきた浜口京子にメダルを取らせてやりたかったが,そこまで人生は甘くないということか.切ないが.

吉田沙保里の金メダルは無論素晴らしいが,事前にメディアに出過ぎていた分,父親を肩車するとかいった優勝後のパフォーマンスは少し上滑り気味.昨日の小原・伊調の凄みさえ感じたインタビューに比べると,マスコミ向けの意図が若干透けて見える.無論,どっかでスポンサーを見つけて競技を続けて行かなくてはならない以上,この種目の広告塔の役割を担ってきてくれた吉田の苦労・功績を考えれば,第三者が文句を言える筋合いではない.だからこそ,頼むからレスリング版の谷亮子にはならないでくれ.

なでしこは,ひたすら勝ちを狙っていったのであればもっと他に作戦があったような気がするが,詰まるところ実力はやはり米国が上だったということだろう.佐々木監督と澤は代表を去るのだろうが,宮間・川澄・大儀見といった攻撃陣の核は20代半ばから後半に差し掛かったばかりなので,大きくチーム力が落ち込むことはないだろう.

Thursday, August 09, 2012

オリンピック男女サッカー

なでしこはいよいよ大団円となるかといった所だが,米国の立場からしてみれば,そうは問屋がおろしてくれないだろう.あとは監督のことを,選手がインタビュー等で「ノリさん」と呼ぶのも,ちょっとどうかねえ.男子のプロサッカーではあり得ない感覚だと思うんだが,まあ女子は雰囲気が違うと言われてしまうと,そうかなあという気もする.佐々木監督が予選の最後の試合で2位狙いに切り替えたのは正しいが,それをインタビューで口にする必要はまったくなかった.いずれにせよ佐々木監督と澤にとっては,事実上,最後の代表選だと思うので,悔いのない試合を.

男子サッカーは,どの出場チームも守備の完成度がかなり低かったので,元から堅い韓国と,オーバーエイジが入って守備が何とか見れるようになった日本が勝ち進んでしまったのは,さほど驚くべきことではないのかもしれない.しかしいくら気を取り直したといっても,徴兵免除がかかって必死な韓国チームとは気合いの入り方が違うので,変に突っ張って怪我だけはしないことを祈る.

女子レスリング

やっぱり凄いですね.小原日登美の,レスリング人生の最後の最後に運よくライフルに残っていた一発の弾で仕留めたような金メダルも泣けてくるし,伊調馨の貫禄と満面の笑みも素晴らしい.まあ女子卓球やフェンシングのような大健闘もいいけど,幾つかはこういう日本の横綱相撲の種目があってくれないと.

その一方で,関係者の間ではかなり期待されていたはずのセーリング女子470は,失格になったレースもあって,決勝に進めなかったようだ.テレビ番組として地上波で中継するのが難しいのは分かるんだけど,BSなどで,こういうのももう少しちゃんとカバーして欲しいんだけどなあ.

女子レスリング(続き)

今日の吉田・浜口の試合が終わる前にこういうことを書くのも早いが,唯一気になるのは主戦級の選手の平均年齢の上昇である.小原・浜口の五輪後引退は決まっているし,伊調・吉田もリオでは30代である.そろそろ1990年代生まれの次の世代が出てこないと.

Monday, August 06, 2012

オリンピック前半総括(続き)

逆に日本にとって先行きがあまり明るくないのが,(特に男子の)柔道とマラソンだろう.柔道は「茹でガエル」問題の典型で,昔の遺産で食いつないでいるうちに,気がつけば取り返しの使いない,深い深い泥沼に落ち込んでしまった.選手がどうこうというより,「JUDO」時代の「柔道」がどうあるべきかをちゃんと考えることのできる指導者が出てこないと,どうにもならないだろう.

マラソンは,この10年ほどの間の競技そのものの在り方の進化が凄まじかったので,問題は日本だけにとってのものではないのかもしれない.女子は確かにまだラドクリフが世界記録を持っているが,男子の状況を見るとそれもいずれ破られ,ケニヤ・エチオピアを筆頭とするアフリカ勢力が圧倒的に支配する競技になっていくのは避けられないような気がする.特定の人種が支配的なスポーツはあまり五輪向けと言えないはずだが,欧米諸国の代表チームに必ず一人は帰化中国人がいる卓球の状況を見ると,それも致し方ないのかなという気はする.
 しかしその一方で,正月の箱根駅伝だけで国内の「伝説」になれてしまう,生温い日本の競技環境もやはり問題だろう.

オリンピック前半戦総括

まあそこまで一生懸命見ている訳でもないですが,金が少ないとはいえ,これだけ日本がメダルが取れているというのは単純に嬉しいし,面白い.

体操は恐らく今が,内村航平という日本が生んだ稀有なアスリートの競技人生のピークだと思うので(無論,より高いピークが4年後のリオで来れば,それに越したことはないが),それにリアルタイムのspectatorとして立ち会えたことは純粋に嬉しい.
 一方,競泳の北島のピークは4年前だったのだろうが,競泳日本の復活の先鋒としての役割を担って泳ぎ続けてきた彼にとって,後に続く世代の台頭を横目で見つつ競技者人生の黄昏を迎えるというのは,これ以上ない幸福だろう.その意味で,松田の「他の3人で『康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない』と話していた」というインタビューには,思わずグッとくるものがあった.
 女子卓球とフェンシングは,まだトップに辿りつけたわけではないが,長い間かかってやっと世界に,それも団体種目で追いついたというのは素晴らしいことだし,今後の競技者人口のすそ野の拡大につながるだろう.
 あとは石川佳純(卓球)と 加藤凌平・田中佑典(体操)の3人については,恐らくブラジル五輪が本当の意味での勝負の時になるのだろうから,今後の4年間に大きく期待したい.