Saturday, September 16, 2017

中公新書『現代日本の地政学』

中公新書『現代日本の地政学:13のリスクと地経学の時代
日本再建イニシアティブ著、2017/8/18

「トランプノミクス」についての章を担当しています。

Monday, September 11, 2017

トランポノミクス・パネル@日経学会

日本経済学会秋季大会 パネル討論(2017年9月10日)
「トランポノミクスと日本経済」
 
  • 清田耕造(慶應義塾大学)
    「米トランプ政権の通商政策と日本経済」
  • 川口大司(東京大学)
    「トランプ大統領を生み出した労働市場構造」
  • 植田健一(東京大学)
    「グレートリセッションとトランポノミクス:ポピュリズムと金融」
  • 馬場直彦(ゴールドマン・サックス証券)
    「金融市場から見たトランプ政権」
  • 司会:祝迫得夫(一橋大学)
    「トランポノミクスと日本経済:イントロダクション」
スライドの一部はこちらから閲覧可能.

Friday, February 24, 2017

FTPLは復活するか?

最近またFTPLについて聞かれたので、昨年シカゴであったコンファレンスのリンクを貼っておきます。コンファレンスの趣旨としては「みんなFTPLバカにするけど、僕たち負けないもん」っていうことかと。逆に言うとあちらの学界の大勢は、Harald Uhligの発表内容に近いのではないかと。
https://bfi.uchicago.edu/events/next-steps-fiscal-theory-price-level

Wednesday, January 04, 2017

Tokuo Iwaisako Best of 2016

Albums:
- Christian McBride trio / Live at the Village Vanguard, Mack Avenue.
- Go go penguin / Man Made Object, Bluen.
- Joshua Redman & Brad Mehldau / Nearness, NONES.
- Radiohead / A Moon Shaped Pool, XLREC.
- Paul Simon / Stranger to Stranger, Concord Records.



Compilations:
- Bruce Springsteen / The Album Collection vol.1 (1973-1984), Mastered for iTunes.
- きゃりーぱみゅぱみゅ / KPP BEST, ワーナーミュージック・ジャパン.

先進国の長期的な経済成長の行方

米国をはじめとする先進国の長期的な経済成長がどうなるかに関しては、研究者の間でも意見が大きく分かれていて、Robert Gordon (Northwestern)は昨年出版した著書の中で、かなり悲観的な見方の著書を示したが、一方でErik Brynjolfsson (MIT)のような反論もある。両者の見解とも、TED talkで字幕付きのプレゼンが視聴可能。
で、大新聞の編集委員が、そういう本物のプロ達の論争を一切無視して、こんな感覚的な悲観論を語っていて良いんですかね?
経済成長は永遠なのか 「この200年、むしろ例外」
 


Summers on Trump’s Carrier deal

空調設備メーカーのキャリア(Carrier)は、昨年インディアナポリスにある工場での生産をメキシコに移すとアナウンス。その後、トランプが次期大統領に当選すると、撤回して、国内で生産を続け雇用を維持することでトランプ氏と合意。しかし良く調べると、キャリアの親会社は航空機エンジン・軍事・宇宙産業等の企業を傘下に抱えるユナイテッド・テクノロジーであり、連邦政府とのビジネス上の関係は極めて深い。したがって、次期大統領とインディアナ州元知事でもあるペンス次期副大統領の多少無理な要求を受け入れるのにさほど躊躇はなかったはず。
Larry Summersが一生懸命くさすまでもなく、要するに政治ショー。

https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2016/12/02/why-trumps-carrier-deal-is-bad-for-america/?utm_term=.9c8f29ad9664

Monday, June 27, 2016

Brexit雑感3

アホな国民投票の結果だとは思う。が、日本にとっての最大の教訓はそこではなくて、貿易・投資の国際化の進展と移民の増加がもたらす経済的な恩恵が 確かに存在する一方で、それに伴って発生する国内のskilled-laborとunskilled-laborの格差の拡大を、政治的にどうやってマネ ジメントしていくかということを、本当に真剣に考えなければいけないということだろう。
この点について西欧諸国のインテリ・富裕層は、今まで自分たちはうまく立ち回ってきたと自負していたのだろうが、その自負はここ最近の自国民のイスラム過 激派によるテロやBrexitによって、危機に瀕している。じゃあ日本は移民を入れなければ良いのかというとそうではなくて、「移民」のところを「ICT 技術による生産性の上昇」に置き換えても、基本的には同じ問題が発生する。

Brexit雑感2

いくらHFTが発展しても、マーケットで暴落を引き起こす原因としては、所詮は人さまの将来予想のいい加減さには太刀打ちできないということか。

Brexit雑感1

直前に「残留」優勢を予想していた世論調査が、まず眉唾。あの頻度で世論調査を繰り返せるということは、調査対象サンプルのバイアスに物凄く気を配っているとは思えない。だとすれば、回答者は都市部のインテリに多少なりとも偏っていたはずで、ということは自然と残留派優位にバイアスがかかっていたのでは? それを鵜呑みにして、マーケットの連中はポジションを取り行っていたはずなので、市場のダメージはかなりでかいだろう。

Tuesday, October 13, 2015

Angus Deaton receives Nobel Prize in economics

と言う訳で、今年のノーベル賞はAngus Deaton。
消費で括るならRobert Hallと一緒でも、不平等の経済分析で括るならAtkinsonと一緒でも良かったと思うけど、逆に言うと守備範囲の広い大物なので、非常に納得できる人選・授賞だと思います。

彼は学術論文・学術書を書くにあたって、非常にeffectiveな文章を書く人だと思う。Understanding Consumptionという本は、出版されたのがアメリカの大学院で勉強を始めた直後だったので良く読んだ。白状すると、最近になって自分の論文で題名をパクったことがあります:"Understanding the decline in Japan's saving rate in the new millennium" Japan and the World Economy (2012)

Hillary Clinton on TPP

ヒラリーがTPPに関して"As of today, I am not in favor of ..."と発言した事を受けて、FTや日経までが彼女を大々的に批判し始めた。いやみなさん、真に受けるんですか? 言い回しからして、後で発言を修整する気満々なことがミエミエじゃないですか。と、思っていたらMankiwが(彼はRepublicanなので相当辛口だが)まさに私の思っていた通りの事をブログで書いていた。以下は、核心部分についての私の超訳:

「ではクリントンを支持しているエコノミスト達は、彼女に対する支持を撤回し始めるのだろうか?それは疑わしい。私の推測では、彼らのほとんどは、彼女の現在の発言を信じていないだろう。彼らは、彼女がいったんホワイトハウスに戻ったら、彼女の夫がまさにそうであったような貿易協定に対して中庸な態度に戻ると予想している。言い換えれば彼らは、彼女の発言が信用できないでことを計算に入れている。」

無論この議論の前提には、ほぼ100%のエコノミストが自由貿易を、したがってTPPを指示していると言う背景がある。

まあ個人的には、共和党は歴史的に自由貿易擁護の立場であるにも関わらず、その大統領候補指名レースのトップランナーであるDonald Trumpが、真っ向からTPPを否定していることの方が、よっぽど懸念を抱かせると思う。

Tuesday, March 10, 2015

日本の財政と安全保障の関係

この『日本は「戦争をできる国」にはなれない』という文章は,土居さんなので「絶対に財政再建が必要」という結論がまずありきで,その上で東洋経済の特集(『テロと戦争』)にあわせて書いたので,こういう議論になったんだろう.しかし経済学の議論としては良くても,安全保障の議論としては相当に中途半端だ.ここでの暗黙の前提は「日本から突っ掛からなければ戦争は起こらない」というものであり,逆にその前提を取り除いて「日本が良い子にしていても,近隣国から仕掛けられる可能性は否定できない」と認めてしまえば,我が国の財政がそんなに逼迫しているなら,いっそ核武装してしまう方が安上がりで,戦争抑止力としてのコストパフォーマンスは一番高い,というロジックだって成り立ち得る.

国内の不平不満をそらすために,為政者が国外の敵に目を向けさせるために戦争を起こすのは世の常であり,日本も少子高齢化が進んで経済・財政状況がどんどん悪化して行けば,そういう局面が出てこないとは言い切れないのは事実である.しかし今後50年を考えれば,より急速に少子高齢化が進み,不平等がより拡大して,国民の不平不満が蓄積して行く可能性が高いのは,どう考えても東アジアの近隣諸国の方だろう.つまりは,日本がパールハーバーを繰り返すことを心配するよりは,パールハーバー的に周辺国から仕掛けられないようにするにはどうしたら良いか,仕掛けられたときにどうやって上手くいなせば良いのかを考える方が,よほど大事な問題だろう.

だからどうしろいう名案の解決策が,いまの私にある訳ではない.ただ経済原理を踏まえない安全保障論はクソだが,シンプルな経済や財政の議論だけで安全保障の問題が片付くほど簡単な訳は無いでしょう,ということは強調しておきたい.