Saturday, October 04, 2008

米国金融機関救済法案,下院で成立

とりあえず,アメリカ国内の問題として言えば,最大の難関は乗り切ったということになるのだろう.
「退屈で陰鬱な科学」であるところの経済学者の立場から言うと,1930年代の大恐慌の原因に関するアカデミックな議論のコンセンサスは「政策の失敗」である.その意味で,ポールソンがブッシュに対して「これをやらなければ,あなたは(大恐慌発生当時の大統領だった)フーバーと同じになる」と言ったのは,全く正しい.また現在のFRB議長であるバーナンケはマクロ金融史の専門家であり,彼の最も有名な論文は,銀行危機(銀行の連鎖倒産)による信用収縮が1930年代初頭の米国マクロ経済の低迷に重大な影響を与えたことを指摘した研究である.今のところアメリカの財務省と中央銀行は,過去の歴史的経験に照らして考え得る,最良の政策の選択を行っていることは間違いない.それが十分かと言われると確信は無いが,それは現実の経済の数字を一番よく把握しているだろう彼らを,良くも悪くも信じるしかない.
したがって,世界の株式市場の一日単位の上がり下がりに一喜一憂してもしょうがない.長期的には,株式市場は一国の経済の健康を指し示す重要なバロメーターだが,短期ではあまりにノイズが多いシグナルである.