Friday, September 05, 2008

自民党総裁選報道

麻生と与謝野以外の候補者全員は,真剣な経済政策論議をしようと見せかけてはいるが,詰まる所,清冽さ斬新さを有権者にアピールして,自分と自民党の選挙を有利に進めようとしているだけである.麻生は,自分があまり深いことを考えない「カリスマ=雰囲気」の人であることを公言しており,与謝野は一番まともだが,逆に言えばそれだけが長所のおよそ選挙向きではない人材であることは明白である.
 以上のことを,国民の何割かは多かれ少なかれ正しく理解している.なのにマスコミは,経済政策に関する対立が総裁選の軸であるかのように報道し,ありもしない座標軸に,この人はここ,この人はあそこと,候補者をあてはめてみただけの中身の無い解説を垂れ流して,読者・視聴者を啓蒙した気になっている.その意味では,政治と国民意識の乖離より,マスコミ報道と国民の理解の乖離の方がよほど深刻である.

Thursday, September 04, 2008

福田辞任

前回の阿部のときに比べれば,まったくと言っていいほど驚きはない.福田康夫という政治家の性格というか資質を,ある程度注意深く観察してきた人間なら,極めて納得の行く行動である.だからと言って,その行動を肯定できるというものでもないが.

しかし,自民党以上に際立って酷い体たらくなのはマスコミである.期待通りのことを言ってくれそうな,能天気なおじさん・おばさんを街頭で掴まえて,そのインタビューを国民の声と称し,「無責任」「放り出し」とか言ったキーワードにこじつけておけば,批判の役割を果たしたことになるのか? さらに重症なのは,いろんな新聞・テレビが次期総裁候補の政策的立場を座標軸で分類して見せるのだが,全部どうしようもなく的外れ.政治家なんて,もともとたいして経済が分かって発言している訳ではないのに,それをまた同じように経済音痴の記者が言葉尻だけを捉えて報道しているものだから,訳が分からなくなっている.
 大半の総裁候補の経済政策論が,実現不可能だったり,論理的に破綻して実質上何も言っていないのに等しいのに,「真剣な政策論議」もへったくれもないだろう.国民の何割かは間違いなくそのことを認識しているはずなのに,それをちゃんと指摘する報道は皆無.上っ面だけの報道を行っているマスコミが一番罪が重い.