Thursday, December 13, 2007

NHKスペシャル「ワーキングプア」

以前,見たような気はしていたのだが,今週の月曜日にまとめて再放送をやっていたので,妻と一緒に全部見た.
 結論から言うと,「うーん違うんじゃない」という感じ.確かに表面上は「ワーキングプア」という言葉でくくれるにしても,経済学的に明らかに異なる原因を持つ問題の結果だけ捉えて,「格差が広がっている」,「格差を是正せよ」というトーンでまとめるのはどうかと思う.あの番組が「ワーキングプア」と総称していたものの中には,少なくとも,

 1.大都市と地方の格差の広がり
  (というか地方都市の衰退)
 2.25年勤続しないと支払われない年金制度の問題
 3.グローバリゼーションによる特定の産業の衰退
 4.大都市における家族・地域共同体

といった複数の,明らかに本質的に原因が異なる問題が含まれている.

それぞれについて言いたいことはあるが,とりあえず1と3に関して言えば,小泉政権以前の自民党は,夕張市の現状に象徴されるように,地方や衰退産業を頑なに保護しようとし続けて,し続けて,結局,日本全体の政治経済システムを疲弊させてしまった.小泉改革は性急だったかもしれないが,逆にいえば,もっと以前にやっておくべきだった改革を詰め込んで,一つの政権でやったからそうなってしまったということ.別に小泉は好きではないが,かと言って時計を反転させましょうというのは,OLD LEFTのアナクロニズムもいいところだと思う.

Wednesday, December 12, 2007

Feldsteinの後継者

NBER(http://www.nber.org/)はハーバード、MITを中心とした、ボストンに本拠を置く世界的に有名な経済学のシンクタンクである。ただ、いわゆる日本のシンクタンクとは違い、いろいろな大学に属する世界のトップの研究者が学会以外の場でコンファレンスを行ったり、研究成果を本にして出版したりということのプラットフォームを提供している、非営利の一大研究組織である。経済学の中では物凄く影響力があって、ここの出しているワーキング・ペーパーは、下手な学術専門誌より余程注目度が高い。
 そのNBERのpresidentを30年に渡って務めてきたのが、ハーバードのMartin Feldstein教授で、BernankeとともにFRB総裁の候補の一人に挙げられていたし、この先ノーベル賞をもらう可能性もある、まあ一言で言って「とても偉い」経済学者である。しかし彼も年なので、NBERのトップをもうすぐ辞するらしいという噂は聞いていたのだが、最近、Economistを読んでいたら、次のpresident募集の広告が載っていた。まあアメリカらしいというか何というか(http://www.nber.org/reporter/2007number3/feldstein.html)。