Sunday, April 03, 2011

SP革命編 (続き)

思い出したのは,去年やっていた韓国ドラマの「アイリス」。奥さんに付き合って半分くらい見る羽目になったが,あのドラマも,アイリスという超越的な闇組織をストーリー展開のための装置として用いることで,思わせぶりなサスペンスを作り上げていた。それから,まさにSPと同じく警察内の秘密組織が登場する,3,4年くらい前の篠原涼子の刑事ドラマ。アイリスも篠原涼子のドラマもSPも,裏を返せば,秘密結社の正体までちゃんとドラマの中で整合的に説明しきるだけの力が,製作者側になかったということ。いつも風呂敷を広げ過ぎて畳めなくなってしまう浦沢直樹も学習能力がないと思うが,元から畳む気がないのに思わせぶりな風呂敷を広げるのはあざといだけ。

SP革命編

野望編に続き映画館で見る。テレビ・シリーズをある程度見ていれば,まあ楽しめるが,チケット代以上の内容ではない。岡田准一・堤真一を始めとするキャストと,プロダクション全体は良いと思う。問題の一番目は,脚本・ストーリーが陳腐なのはしょうがないにしても,政治家やテロの黒幕の一部である若手官僚(?)の描写があまりに稚拙なこと。SPの任務の描写やテロ計画のハード面の内容がかなり具体的なだけに,ソフト面の描写があまりに紋切り型で,全体がアンバランス。第二の問題として,脚本と言うよりはプロデューサーの問題なのだろうが,続編制作に色気があるのは分かるが,超越的な第三者を登場させて強引にストーリーの収拾を図っているために,映画の中でちゃんと話に決着をつけられていない。次に繋げるにしても,いろんなストーリーの伏線を回収して,もっとちゃんと区切りを着けることは可能なはずで,それができていないのは単に原作者・製作者の勘違いと力不足。個人的には,テロ決着後のエンディングの10分ちょっとで,映画全体をスポイルしてしまっていると感じた。