備忘録
第3章:「特に日本の場合、集中治療室(ICU)の数、人工呼吸器の数が欧米に比べて圧倒的に少なく、人口10万人あたりではイタリア(12.5床)、フランス(11.6床)、スペイン(9.7床)、英国(6.6床)に対して、日本は4.3床しかなく、ICU専門の医師、看護師の数も不足していました。したがって、感染者が増えて重症者が多くなると、医療従事者、医療設備の不足とも相まって、重症者治療が困難となり、実際に東京や大阪ではもう少しで医療崩壊という状態になりました。」(P.75)
第5章:「世の中ではこの6割という数字が独り歩きして、間違って使われていますので、この『大きな誤解』について…。
私がこの集団免疫のことについて『大きな誤解』があることを理解したのは…。…西浦博氏が、…何も対策をしないと、今後、重症者は約85万3000人、死者は約42万人となる可能性がある、という旨のショッキングな予測をしたのです。この予測は、重症化率1%前後という仮定のもとに、日本国民1億2600万人の6割以上が感染した場合に成立するものです。
…この予測は、英国で集団免疫論を主導したニール・ファーガソン教授の『何も対策をとらなければ、最悪の場合、イギリス全体の6割が感染する』という主張に合致するものです。…スウェーデンのアンデシュ・デグネル教授も同様の主張をしています。」(P.156)
「これまでの世界各地の感染事例を見ても、一定地域の中で6割もの人が感染したことがあったかというと、答えはノーです。…中国の武漢やイタリアのロンバルディアなどの極めて深刻な感染状況だったところでも…せいぜい2割ぐらいでした。…ダイヤモンド・プリンセス号でも感染したのは、3711人の乗員乗客のうち、712名と、全体の2割強でした。」(P.157)
「…社会の状況によっては、…集団免疫閾値は時間とともに変わりうるものであることを理解してください。」(P.160)