Monday, March 10, 2008

日銀総裁・副総裁候補の人事案を巡って

総裁:武藤  副総裁:白川,伊藤

我が師匠のことはさて置くとして,3人セットで考えるなら,人事案としてはかなり良い線だと思う.「総裁:武藤,副総裁:白川」の名前が挙がった時点で,岩田氏を残すというのでも無い限り,二人目の副総裁に他の誰を持ってきても,政策的にちょっと日銀内部の保守路線の色が強すぎるということになってしまったと思う.

もう一つは,単に自民党内の根回しゴロゴロで人事案を決めたのなら,よりによって我が師,伊藤隆敏の名前が出てくることは無かっただろうという点である.一般的にはさほど目立ってないかもしれないが,最近も政府系ファンドやら,航空の外資規制やら,頼まれもしないのにいろんな所でガオガオ吠えまくっていた.それが彼の存在意義だし,行動パターンは私が学生の頃からまったく変わっていない.しかし,経済財政諮問会議に関わるようになって以降,それを煙たがる周囲の声は,私の耳にすらかなり入ってきていた.それを敢えて副総裁候補に選んだんだから,パソコン画面の前で「うそぉー」と叫んでしまった.ということは,妥協の産物というよりは,首相とその周辺がある程度ちゃんと考えて選んだということなのだろう.

私は福田首相という人物を,まだいま一つ測りかねている.確かに就任からこっち,現政権には失望させられることばかり多い.しかし状況が状況なだけに,彼に他に何ができただろうと考えざるを得ない部分もある.今回敢えて正面突破で武藤氏を候補に据えたこの人事案を出してきたことで,日銀総裁選びと暫定税率の問題を上手く乗り切れば,4月以降,ひょっとして本格的にリーダーシップを発揮してくれるのではないかという,淡い望みを抱いてしまったことは確かである.

我が師に関しては,本人は喜んでいるのだろうし,何はともあれ御武運をというしかない.

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