私は1990年代の半分以上を米国で過ごした.滞在期間は,クリントン政権の時代とほぼオーバーラップしており,当時は,いろいろ上手くいかないことが多いように感じていたが,いま振り返れば,自分の人生も,米国という国も,非常に幸福な時代だったと思う.
そして9.11がやってきて,あの前後から,米国がというよりは世界全体が,以前より住みにくく,殺伐としたものになったと感じている.この感覚は,私が生きている間に好転することがあるのだろうか?
私の人生? 別に今も幸福だし,仕事もそれなりに充実している.だが,留学しようという研究者の卵や若手官僚にいつも言うことだが,自分の能力や才能の限界を明確に意識することなく,ひたすら上を目指して努力して行けばよい20代から30代前半にかけての年月というのは,人生の他の時期には得られない充実感がある.とは言え,タイムマシンで戻って,今のお前は物凄く幸せなんだと米国時代の自分に言ってみた所で,到底理解できないだろうが.
私も老いてきているし,この国も老いてきている.どうやって上手く老いて行くかは,若い時代に成功するかどうかよりも,ある意味でもっと困難な課題である.自分の老い方は自己責任だし,他人の力を借りるつもりもないが,日本という国はもう少し上手く老いることはできないのか,そのために私ができることはなんなのかといつも思う.
それとも私が老いたから,世界全体が殺伐としているように感じ,この社会が上手く回っていないと感じるようになったのだろうか? それなら良いのだが,残念ながらそうではないような気がする.
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