麻生と与謝野以外の候補者全員は,真剣な経済政策論議をしようと見せかけてはいるが,詰まる所,清冽さ斬新さを有権者にアピールして,自分と自民党の選挙を有利に進めようとしているだけである.麻生は,自分があまり深いことを考えない「カリスマ=雰囲気」の人であることを公言しており,与謝野は一番まともだが,逆に言えばそれだけが長所のおよそ選挙向きではない人材であることは明白である.
以上のことを,国民の何割かは多かれ少なかれ正しく理解している.なのにマスコミは,経済政策に関する対立が総裁選の軸であるかのように報道し,ありもしない座標軸に,この人はここ,この人はあそこと,候補者をあてはめてみただけの中身の無い解説を垂れ流して,読者・視聴者を啓蒙した気になっている.その意味では,政治と国民意識の乖離より,マスコミ報道と国民の理解の乖離の方がよほど深刻である.
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