Wednesday, May 30, 2012

吉本芸人と生活保護

私自身も,30歳近くになるまで大学院生をやっていて定職が無かったので他人事ではない.そこまで責めるのはかわいそうだとか,片山さつき氏がえげつないとか言う話がある一方で,実は極めて重要な経済問題でもある.

今の民主党による「社会保障と税の一体改革」が実現すると,生活保護と基礎年金は,現在よりずっと手厚くなる.しかし,この二つの制度には必ずモラル・ハザードと負担の公平性の問題がついて回る.かつて生活保護を受けることが「恥ずかしい」ことであると見なされていた時代があり,その頃は受給者やその親族に一定の心理的歯止めがかかっていたのだろうが,これだけ生活保護が日常化するとその歯止めも聞かなくなるのは避けられないことだろう.もし本当に現在より生活保護を手厚くするなら,受給者の性善説ではさすがに制度が持たない.受給の線引きの明確化・厳格化は避けられないし,そうしなければ多少の増税などあっという間に吹っ飛んで,我が国の財政状況はこれまで以上に急速に悪化するだろう.

いま現在は,消費税の増税問題だけがスポットライトを浴びているが,「社会保障と税の一体改革」は「社会保障」の方が先にきている.将来の日本の国の在り方を規定するためには,社会保障制度の在り方についてどういう国民的合意が形成されるかは,より重要な問題であると言えるだろう.

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