二つが出揃った訳だが,温度差はあるかもしれないが,どちらも初期段階での菅前首相の「過剰介入」が現場を混乱させたとしている。さすがに「菅氏の対応に落ち度はなかった」とは書けないだろうが,個人的にはこの点に関する二つの事故調の記述にはいずれにも腑に落ちない部分がある。
いくら工学部出身だとは言え,菅氏はこの分野の専門家ではない。普通に考えれば,原発事故のような極めて専門際の高いテクニカルな問題に関して,最初の48時間ないしは72時間に,そんな素人の政治家が介入できる余地がある方がおかしい。素人が「介入した」のがおかしいのではなく,「介入できる」ような状況であったことがそもそもの間違いであり,究明されるべき問題点である。別の言い方をすると,当然,専門家によって行われるべきであった意思決定におけるプロセスに,大きな「空白」というか,明白な"slack"が存在したのはなぜであるかを,もっとちゃんと突き詰めて調べ,議論する必要がある。
それは,保安院・経産省と東電両者のガバナンス(の欠如)の問題であり,恐らくは両者の間の力関係の変化と,それに対するに政治の関与の問題に行きつくのだろう。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment