Monday, December 29, 2014
2013年度の家計貯蓄率はマイナス
2013年度の家計貯蓄率がマイナスになったとニュースで騒いでいるので、簡単なグラフを作ってみた。「貯蓄=所得―消費」なので貯蓄率の低下は、所得以上に消費が伸びるか、所得が減っているのに消費が減らない(=減らせない)のどちらかによって起こる。家計貯蓄率は2000・01年にも大きく低下しているのだが、その時は所得が大きく減ったため、今回は消費が増えたためであることが分かる。消費が増えた理由がすべて消費増税前の駆け込み需要で説明されるのか、それとも家計が将来の所得増を見込んでいる影響が多少はあるのかは、もう少し新しいデータが利用可能にならないと分からない。
Sunday, November 30, 2014
買われるが読まれない本
Kindleでダウンロードした本の最後にマーカーを引いた(ハイライトした)ページのデータというのがあるそうで,Ellenbergという数学者はこれをHawking indexと呼んで「みんな買って本棚に置いておくが,ほとんど読んでない本」の尺度として使っている.無論,ベンチマークは『ホーキング,宇宙を語る』.WSJの記事によると,経済学ではカーネンマンの『ファスト&スロー』ですら『ホーキング,宇宙を語る』と同じレベル(本全体の6.8%).もうすぐ翻訳が出るPiketteyの『21世紀の資本』に至っては,ホーキングをはるかに下回るぶっちぎりの最下位(全体の2.4%!).「Pickettyが流行っているらしいから買わなきゃ」と思っている人は,とりあえずエコノミスト誌(今年の8/19号)の深尾先生・森口先生の論説を読んで見てからにしてはどうでしょうか.
http://online.wsj.com/articles/the-summers-most-unread-book-is-1404417569
Tuesday, November 11, 2014
黒田バズーカ#2:その2
ついでにNYの証券会社にいる友人(フランス人)に「Kuroda Bazooka#2」は,Wall streetでどういう受け取られ方をしているんだとメールしたら,Let me look into itと言ってからしばらくして「みんなあんまり関心ない」という答えが返ってきた。彼らの大半は中間選挙の行方に気を取られていて,ドル高(円安ではない)の進行は,QEからの脱出と米国景気の相対的な好調さの自然な反映だという認識らしい。要するに日本で騒いでいるほど,海外では円安に関心を持たれている訳ではないってことですね。確かに他の通貨の対ドルレートを見ると,円安というよりドル高だしね。
黒田バズーカ#2と実質実効為替レート
定期健診の際に打った麻酔が効きすぎてまったく仕事にならなかったので,先週の金曜の午後,家でグテグテしながら直近の円安進行後の実質実効為替レートの水準を計算してみた。かなり大雑把な計算だが,とりあえず9月時点での実質実効レートに,その後の名目の円ドルレートの変化率をぶっかけるとこのグラフのようになる。黒田バズーカ#2直前の実質実効レートは,ほぼプラザ合意直前およびリーマン直前の水準で,バズーカ発射後は1982,83年頃のFrankelがdazzling dollarと呼んだ超ドル高の水準くらいである。これを見ると,国内インフレ率に大きな変化がない限り,短期的には118円くらいまでは行くかもしれないが,120円以上の超円安が発生するとはあまり思えない。
Tuesday, October 07, 2014
アベノミクス再考
8月の初めに発表した、外人さん向けのアベノミクスの解説を論文(エッセイ?)にした原稿を、主催者に提出した。自分ではニュートラルなつもりなのだが、米国でアベノミクスの話をすると、お前はなぜそんなに悲観的なんだという顔をされ、逆に日本では自分の考えていることを丸出しにすると、かなりの楽観主義者だとみなされる傾向にある。
で、2ヶ月前の発表から原稿の完成までに、景気に関してはかなりネガティブなニュースが続いたので、以下はそれに関する雑感:
1.「消費増税」というけれど、1989年の消費税導入は所得税の恒久減税とワンセット、97年の3%から5%への税率引上げでは所得減税が先行し、景気が回復するのを待ってやっと引き上げたという経緯がある。つまりここまでは、日本の税制が直接税(所得税)にウェイトを置いたシステムから、間接税(消費税)にウェイトを置いたシステムに移行していくプロセスに過ぎなかった。今回は、事前に景気対策で点滴を打っておいたとはいえ、家計にとってのネットの恒久的な増税の大きさでは89年・97年を大きく上回っているはず。私なんか、よくこの程度の消費の落ち込みでおさまっているよな、と思うんですが、みなさんどういう物差しで話をしているんでしょうか?
2.消費税引上げを1年先延ばししたとして、何が起こるか? 将来への負担の先送りとか言う前に、マーケットで何が起こるか考えた方が良いと思うのだが。アベノミクスが、特に海外の投資家に高く評価された理由は、単なる緊縮政策austerityでも、単なるオールド・ケインジアンでもなく、「当面の経済成長率を引き上げつつ、長期的には財政再建にコミットする」というバランスを追求したからである。無論、1年先延ばしして劇的に景気回復すればそれもありだろう。しかしダメだったのでもう1年、またもう1年ということになれば、金融市場は安倍政権を見放すだろう。というか、そもそも政府関係者が願っているほどには、マーケットは自民党政権の財政再建へのコミットメントを信用しているはずがないので、景気が悪くなるとすぐ注射をうちたがる古い自民党に首相が引きずられていると感じた途端に、株価は大幅下落し、円安が大きく進行するだろう。消費税引上げの先延ばしを主張している人たちは、「今そこにある」マーケットのリスクをちゃんと分かっているのだろうか?
Monday, July 14, 2014
2014年W杯ベスト11
個人的ベスト11
GK:ノイアー(ドイツ)
DF:ラーム,フンメルス,ボアテング(ドイツ)
MF:クロース(ドイツ),マスチェラーノ(アルゼンチン)
ハメス・ロドリゲス(コロンビア),A.サンチェス(チリ)
FW:ミュラー(ドイツ),メッシ,ディマリア(アルゼンチン)
次点:シュールレ(ドイツ),ロッベン,ブリント(オランダ)
ドイツ vs アルゼンチン 決勝
準決勝が両方とも残念な試合だっただけに,どうなるかと思ったが,ポゼッション=ドイツ vs カウンター=アルゼンチンという組み合わせがはまって,非常に緊張感がある良い試合になった.延長後半になって,最後やはりアルゼンチンの守備がへたってきたところに,シュールレとゲッツェという交代枠で入った若手が決めて,結局は大方の予想どおりの結末になった.
ベストゲーム: ドイツ vs アルゼンチン 決勝
ベストゴール: ファンペルシー オランダ vs スペイン 44分
PS メジャーなスポーツの大会では,大昔はQueenのWe Are the Champions,ここ最近はWhite StripesのSeven Nations Armyが定番だったが,これからしばらくはPharrell WilliamsのHappyがはやるのかしらん?
Sunday, July 13, 2014
移籍情報まとめ
スアレス: リバプール → バルセロナ
A.サンチェス: バルセロナ → アーセナル
ディエゴ・コスタ: A.マドリー → チェルシー
セスク・ファブレガス: バルセロナ → チェルシー
スアレス: リバプール → バルセロナ
A.コール: チェルシー → ローマ
マンジュキッチ: バイエルン → A.マドリー
ブラジル vs オランダ
開始直後にチアゴ・シウバがロッベンを倒し,PKを与えてイエロー.その後,15分ほどでブリントの2点目が入ったところで,もう見る気が失せて,そばにあった「鉄腕バーディー evolution」を読み返していた.さすがに,ドイツ戦と同じ失敗を繰り返されてもねえ.「サッカーの怖さ」とか言われても,こうなってしまうと,やはりブラジルの,特に中盤のタレントが枯渇していたと考えざるを得ない.本当にワールドクラスと言えるのは,ネイマール,チアゴ・シウバと両サイドバック,かろうじてオスカル.ダビド・ルイスはフリーキックは凄いが,CBとしては守備が軽すぎる.ボランチの2人,パウリーニョとルイス・グスタポは,少なくとも今回のW杯では何かが特に優れているとは思えなかった.かつてのドゥンガ,マウロ・シルバ,エメルソン,ジウベルト・シルバといったブラジルの名ボランチと較べたら,いかにも凡庸.アタッカー陣も,ロマーリオ,ロナウド,ロナウジーニョ,リバウドといったレジェンドと比較になるのがネイマールだけで,しかも攻撃の核になるにはいくらなんでも若すぎる.メンバー選びの失敗とか,そう言うレベルの話ではないような気がする.基本的にタレントが足りない.決勝は,まあ普通に考えればドイツでしょう.
Thursday, July 10, 2014
アルゼンチン vs オランダ (3)
普通,ワールドカップは準決勝・準々決勝あたりが,いちばん面白いはずなのだが,今回の準決勝2試合はどちらもなんだかなあという感じ.でもまあ,決勝のドイツ有利は動かないでしょう.
アルゼンチン vs オランダ
準決勝のもう1試合と違い,こちらはなかなかの塩試合.両方とも基本的に恐ろしく守備重視で,攻撃は個人の突破力頼みの一昔前のサッカーという感じ.後半になって多少守備がルーズになり,やっと本格的なパンチの応酬が始まった感じ.
Wednesday, July 09, 2014
Sunday, July 06, 2014
オランダ vs コスタリカ
やはり5時には起きられなくて,目が覚めたらPK戦.GKがクルルに替わってるんですけど? オランダが相当ヘマをしたんだろうとの予想はつくが,ベテラン勢が冷静に決めて,結局オランダの勝ち.つまり,決勝トーナメントに入ってから番狂わせは1試合もなかったということですね.
アルゼンチン vs ベルギー (6)
岡田の解説とダブるが,ベルギーがもう少し早く選手交代して,ギアをトップに入れていたらどうなっていたかわからなかった.とは言え,やはりベルギーはこのレベルで戦うには,チームとしての引き出しが少なすぎるかな.その割にこのゲームではコンビネーションも今ひとつだったし.
個人的にこのW杯のベストチームはドイツだと思うが,いずれにせよドイツ vs ブラジルの勝者が決勝でも勝つ可能性が高いのではないか.
アルゼンチン vs ベルギー (2)
前半終了.アルゼンチンは,まあこんなものだろう.最前線は素晴らしいが,中盤はほぼマスチェラーノのみでもっている.ベルギーは,ワントップのオリジがまったく機能していないのが最大の問題だが,何で攻撃も守備もこんなに連携が上手くいっていないのか.こちらもアルゼンチン以上に中盤が機能していない.
アルゼンチン vs ベルギー
イグアインのシュートは素晴らしかったが,試合の質としては「フランス vs ドイツ」,「ブラジル vs コロンビア」の方が大分上だと思う.デマリアが途中でダメになってしまったのは,このまま勝てたとしても,アルゼンチにはかなり痛いのではないだろうか.
ブラジル vs コロンビア
結果は妥当だと思う.ハメス・ロドリゲスは良い選手だが,ブラジルで言えばせいぜいオスカールと比較できるかどうかというレベルで,まだメッシやネイマールとは比較できるレベルにない.コロンビアは確かに良いチームだったが,あとはせいぜいクアドラードくらいなので,今大会のブラジルとまともに張り合えるところまでは行っていなかったと思う.試合自体は,カウンターの繰り出し合いになって,ちょっとガチャガチャしていた.少し荒すぎたし,レフェリーはもう少し厳しめに反則をとるべきだったと思う.ただネイマールを骨折させたスニガのプレーは,アンラッキーだったけど,リアルタイムで見ていた限りでは意図的だったとは思えなかった.
Saturday, July 05, 2014
Monday, June 30, 2014
メキシコ vs オランダ
「ブラジル vs チリ」「コロンビア vs ウルグアイ」を見た後だと,多少緊張感に欠ける試合だったが,特に後半試合の展開は面白かった.最後は,知将ファンガールの面目躍如といったところだろうか.後半の給水タイムの前後で,キャプテン&エースのペルシを下げてフンテラールを入れ,大胆にフォーメーションを変更して大当り.それにちゃんと対応できるオランダの選手も凄い(特にカイト).3バックだろうが4バックだろうがドンと来いというチームとしての戦略対応力の高さは,ヨーロッパ勢,特にオランダ・イタリアの専売特許だよなあ.無論,自分たちの基本フォーメーションに拘る南米勢やスペインというのも,それはそれで魅力的なんだが.
Sunday, June 29, 2014
コロンビア vs ウルグアイ (3)
まあ,これはいずれにせよ日本は勝てる相手ではなかったですね.ウルグアイの代わりにイタリアが出てきていたとしても,普通にコロンビアの勝ちだったでしょう.思った以上に近代的で,よく組織されたチーム.ウルグアイも十分良いチームなんだけれど,良くも悪くも古典的で,特に中盤の構成力はコロンビアが数段上だった.
コロンビア vs ウルグアイ
高速カウンターの繰り出しあいで,忙しなかったブラジル vs チリと異なり,特にコロンビアの方がペケルマンのパスを繋ぐ組織的なスタイルなので,重厚だが緊張感のある立ち上がり.まあこちらの方が普通だよねえ.
ブラジル vs チリ (5)
チリにとってはまさにベスト・ゲームだったし,勝者にふさわしかった.ブラジルはやはり地力では勝っていたと思うが,チームとして応用力がないというか,基本的な攻撃スタイルを封じ込められた時のチームとしての戦略・柔軟性に欠ける面は否めない.まあ,でもここでホスト国が消える訳にはいかないしねえ.あとハワード・ウェッブは,ジャッジが難しい試合で良い仕事をしたと思う.
ブラジル vs チリ (4)
チリのハイプレス+ショートカウンターがハマっているというよりは,ブラジルが自分たちからハマりに行ってしまっている感じ.GLでのオランダみたいに,逆に相手に持たせるというのは有効だと思うのだが,まあホームで攻撃サッカーが義務づけられているブラジルにその選択肢はないよなあ.しかし,決勝トーナメントに入って1試合目でいきなり延長かよ.眠いよ〜.
ブラジル vs チリ
なんか初っ端から,ビュンビュン高速のすごい土突き合い.ブラジルが一点取って落ち着くかと思ったら,すぐチリが取り返す.そのまま土突き合って前半が終わる.しかしフェリポーンは,相変わらず近所にいる声のでかいオジサンという佇まいだ.
オシムの総括
私自身はオシムの発言ほどには肯定的になれないが、多分、サッカーマニアで代表の試合を丹念に追いかけてきた人ほど、W杯の失敗はそれはそれで総括せねばならないが、ザックJapanの4年を無意味だったと思わない/思いたくないという感じだと思う。そしてオシムの締めのセリフ、『この敗戦が「いい経験」になるかどうかは、今後の努力次第なのだ』というのは、まさにその通りでしょう。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/06/26/kiji/K20140626008444250.html
Wednesday, June 25, 2014
日本 vs コロンビア (2)
まあ,相手が相手だししょうがない.しかし今日のサッカーができていれば,ギリシャ・コートジボワールとは互角以上に戦えていただろうに.しかしこの大会,中南米の国のホームアドバンテージはやはり相当に大きいのだろう.さもなければ,メキシコではなくクロアチアだったろうし,イタリアがウルグアイとコスタリカの両方に負けるというのも考えにくい.よく考えると中南米でW杯をやるのは,マラドーナが優勝した1986年以来で本当に久しぶりなのね.北米まで含めても,米国での開催がちょうど20年前.だから南米でサッカーをしたことのない国のチームが手こずるのも,よくわかるわ.何はともあれ,これでアベノミクスによる景気回復が終焉になるのだけは避けたいよね.
Tuesday, June 24, 2014
「オランダ vs チリ」 & 「スペイン vs オーストラリア」
何人かの好きな選手(ビジャ,Xアロンソ,トーレス)の代表ラストマッチの可能性が高かったので,スペインvsオーストラリアも気になったのだが,さらに両軍とも飛車落ち(ペルシとビダル)ではあるのだが,やはりガチの殴り合いの方が面白いだろうということで,オランダvsチリを観戦.前半はチリがポゼッションで勝り,オランダが押し込まれつつもカウンター発動で見せ場の数はより多いという展開.フランスW杯の,ポゼッション重視のヒディンク・オランダに強い印象を受けた人間にとっては淋しい部分もあるが,何せディフェンスのプレーヤーの質に大きな問題を抱える現在の状況では,まあファンガールの戦略は合理的な選択なのだろう. と思っていたら,さすがに前半は監督の意図以上に引き過ぎていたようで,基本線は変わらないものの後半はオランダがもう少し前目から厳しく守るようになり,さらに殴り合いの様相が激化する.で最後は飛び道具の破壊力の差が出たようで,ロッベンを中心としたカウンターがきれいに決まって,オランダが2点差勝利. でもオランダの守備もかなりガツガツ行っていたので(そうしないと今のオランダは守りきれないので),レフェリーがもう少しファールに厳しければ,試合はチリに転んでいたかもしれない.
Monday, June 23, 2014
ポルトガル vs USA
2-1で終わるはずが,最後の最後で同点に.チームとしてのグタグタぶりという意味では日本の上を行く感じのポルトガルだが,まあそこはバロンドールだからねえ.やっぱなんだかんだ言ってもCR7は凄いわ.
Friday, June 20, 2014
日本 vs ギリシャ (3)
まあ三連敗もあると思っていただけに,極端に悲観するつもりはないが,いろんな要因が悪い方向に転がっていることは事実だろう.ギリシャは早い時間で人数が少なくなってしまい,無論,日本に勝てなければグループ突破の可能性は大きく低下するのだが,それでも両者引き分けになった時の可能性は,最終戦がコロンビアの日本よりはまだましだと考えたのだろう.あれだけデカくて守備の上手い相手に,ゴール前に引き込まれるとやはり日本は辛いよねえ.まあコートジボワール戦と違ってちゃんと攻めていたので,この結果には納得しています.
Wednesday, June 18, 2014
ブラジル vs メキシコ,ロシア vs 韓国
ブラジル vs メキシコ:0-0
思い切り眠い中,頑張って起きて見続けた割にはいま一つ戦術的なスペクタクルさに欠けた試合だった.まあ南米勢同士の対決だからしょうがないけど(メキシコは北中米予選だが,サッカー文化としては完全に南米系だよな).ただ王国ブラジルに立ち向かうメキシコの立場から見ると,これ以上スリリングな試合はないし,満足のいくものだったと言えるだろう.そして日本サッカーが参考にすべきはまずはメキシコというのも,昔から言われていることだが,至極真っ当な主張だと思う.
ロシア vs 韓国:1-1
こちらはまったく真面目に見ていた訳ではないが,何というか本当に面白くなかった.ブラジルvsメキシコが徹頭徹尾ガチンコの真っ向勝負なのに比べると,こっちは最初から引き分けでもいいやという本音が,両チームともから感じられる中途半端な試合.しかも韓国の得点の際のロシアのキーパーのミスは,オランダ戦でファンペルシに二点目を入れられた時のカシージャスと同じくらいお粗末なもだったと言わざるを得ないだろう.
Tuesday, June 17, 2014
ドイツ vs ポルトガル (4)
結局4-0.このW杯は,ラテン系がアングロサクソン系に虐殺される大会なのだろうか? しかしドイツのMF陣の充実ぶりは凄い.クロースは初めてプレーしているのをじっくり見たが,やはり非常に良い選手ですね.
ドイツ vs ポルトガル (3)
日本は中盤が売り物だということになっているが,このドイツ代表では本田も香川も食い込めないだろう.控えですら怪しい.いや日本がダメという話ではなく,ドイツが豪華すぎるという話なのだが...
ドイツ vs ポルトガル (2)
あーあ3点目入っちゃったよ.後半見ないで寝ようかな.しかしゼロトップと言っても,ミュラーくらい高さがあれば,従来のFWとしての機能も十分果たしているので,スペインでセスクあたりをゼロトップに置く状況とは違うと思うんだが.
Sunday, June 15, 2014
イングランド vs イタリア(2)
NHKはアナウンサーも画面表示も,イングランドのDaniel Sturridgeを「ストゥーリッジ」としているが,私の知る限り「スタリッジ」の方が近いと思うのだが.
イングランド vs イタリア
ある意味,オランダ(=イングランド)vs スペイン(=イタリア)に似た展開で,後者がポゼッションでは勝っているが,前者の方がチャンスを作っている.と思っていたら,マルキージオの見事な一発でイタリア先制.と思っていたら,今まで目立っていなかったルーニーの見事なクロスで同点.
Saturday, June 14, 2014
オランダ vs スペイン
まさかこういう展開になるとは...ファンハールの策がはまり,加えて雨が...ということか? カシージャスのパフォーマンスはいくらなんでも酷いし,ピケも?という感じ.ディエゴ・コスタもPKの場面以外はあまり目立っていなかったし,最初からトーレスでも良かったのでは.あとオランダのブリントは,初めて見たけど良い選手ですね.
Friday, June 13, 2014
Sunday, May 25, 2014
CL決勝
まあ面白かったが,内容としては凡戦のような...。
アトレティコはディエゴ・コスタが早々に退場,レアルはシャビ・アロンソが出場停止で,CR7も怪我で明らかの本調子ではない.両方とも飛車・角なしで将棋をやっているようなもので,試合の質はいまいち.とは言え,ディマリアとセルヒオ・ラモス,それにモドリッチの3人は素晴らしかったと思う.
Wednesday, May 07, 2014
実務家に大学院レベルのマクロ経済学をどうやって教えるか?
出向で2年間お世話になった財務省の研修とは,良かれ悪しかれなかなか縁がきれなくて,今年度はなぜか「上級マクロ」,すなわち学部ないしは大学院の修士で経済学を専攻した連中を相手の講義を担当させられたので,その感想を備忘録的に:
研修の担当者も,研修を受ける側の受ける若手の方も理解しているが,このレベルでマクロ経済学の授業は,特に教える側としては恐ろしく難しい.
理由その1(=技術的な理由)米国の大学院では,1年目の必修のマクロの授業の少なくとも2割,場所によっては半分近くを,動学的最適化の技術的なテクニックの習得に割く.それよりは大分ちょろい一橋でも,大学院の上級マクロは週2回1学期分の授業を二人の教員で担当し,そのうち一人は半分以上を動学最適化に割くことになる.ところがMOFの時間の割当てで,真面目に動学的最適化を教えようとすると,どんなに刈り込んでいっても全体の半分をそれに割り当てることになる.これにOLGなんか加えたら財政金融政策の話をする時間なんか皆無.
その一方で最近,財務省で海外の経済のPh.D.に行く若手は一年で0人~2人。海外留学組のうち恐らく半数以上が英国(LSE, Oxford, Cambridge, UCL等)の一年で終わる修士課程で,残りが米国のPublic PolicyかBusiness School.この状況で動学的最適化のテクニックを,クソ真面目に教える意義はあまりないし,そもそもPh.D.に行くつもりの奴は初めからある程度理解している.
そういう訳で,今回は「2期間の異時点化最適化問題とオイラー方程式の導出と解釈を厳密にやって,infinite horizonの動学的最適化はその延長線上で軽く触れるに留める」というやり方にした.まあ頼んできた担当者も,「動学的最適化とDSGEの線形近似のみ」の上級マクロは役所では全く役に立たないということがかってきたというか、そういう詰め込み方をしても、結局受講者が全然理解できていないということが過去の経験の蓄積から分かってきたようだ。で,私のようなやり方をする人間の方が良いと判断して,上級マクロを振ってきたのだと理解している.
経済学部出身のキャリアに「マクロ経済学」を教えるのが難しい理由その2:
リーマン・ショック以降,私の専門のファイナンスもゴタゴタしてはいるが,マクロ経済学はそれとは較べものにならないほど混乱している.「グレート・モデレーションだから,ニューケインジアンのDSGEで金融政策をMatlabでちょちょっとやればグー」みたいなパラダイムは崩壊していて,じゃあ何をやればいいのと言われても,あんまし明確なコンセンサスは出てきていない.リーマンの前にPh.D.を取ったミクロ専門家とかが,訳知り顔で「米国のマクロはDSGE」なんて言うのは,ミスリーディングもいいところで本当に迷惑.
最後の時間に受講者に「ではDSGEでなければ,どういうマクロを勉強するば良いのか」と聞かれたが,正直上手い答えは見つからなかったので、こういう回答をした:「行列を使った議論の展開を厳密に理解しなくても、計量経済学で何が問題になっているかは理解できるはずなので、DSGEに対してもそういうアプローチで良いのではないか.あとはRogoffやCaballeroのDSGEの問題点に対するコメントを読んでください.Rogoffの方がまだしもDSGEに好意的ですが,しかし二人の論点は共通しています」:"A fair criticism is that because academic researchers place great emphasis on internal consistency, there is tendency to give far less rigorous attention to external consistency. (Rogoff)","current core—by which I mainly mean the so-called dynamic stochastic general equilibrium approach—has become so mesmerized with its own internal logic that it has begun to confuse the precision it has achieved about its own world with the precision that it has about the real one. (Caballero)"
http://scholar.harvard.edu/rogoff/publications/three-challenges-facing-modern-macroeconomics
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1683617
Monday, April 28, 2014
STAP細胞問題
もう,どこから手をつけて良いのやらという感じで報道が過熱化しているが,個人的には日本の報道機関の科学報道に関する基礎体力のなさに今更ながらあきれているのが,一番の感想である.小保方氏がまともだとは到底思えないが,世界を見渡せばSchön scandalとかヒト胚性幹細胞捏造事件とか,もっとひどい例は過去に幾らでもあった.ちゃんとした科学記者であれば,そういう過去の記録を一般の人々に重要な情報としてしっかり伝えるべきなのに,それを敢えてしないのか,そもそも能力がないのか...。まあ,経済(学)の報道関係者も,そういうのが大半ですが.結局最後は全部,池上彰さんにお願いしますなんていう状況になってしまっていて,少しはマズイとか悔しいとか感じないんだろうか.
GPIF問題
先週の日経の経済教室に載った,伊藤隆敏氏のGPIFに関する提言がかなり過激だったので,私のところにも「お前の師匠は何を考えているのだ」というお門違いのメールや書き込みがあった。伊藤さんの主張についてより詳しいのは,下記のBloombergの記事だが,私自身としてはこれを読んでもいま一つ良く分からなかったというのが正直な感想である。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N45Y1D6JTSF001.html
JGBを減らして株式保有を増やせというポートフォリオ配分の議論については,まあ方向性は理解できる.しかし,具体的な数字としてあげている配分水準の理由づけの前提となる情報・議論が,単純な海外との比較以外は何も示されていないので,これだけで賛成しろと言われても,ハイそうですかという訳には行かない.とは言え,フェルトシュタインも米国の年金を株式で運用した際の期待収益率については,恐ろしく楽観的な発言を長年に渡って繰り返しているので,世界的なレベルで言えば特に過激といえるほどの発言ではないだろう.
一方,GPIFのガバナンス改革についても,伊藤氏が何が最も本質的な問題だと考えているか,具体的にどこをどう改革すればよいと思っているかが,多分御本人がそう思い込んでいるほどには,他の人間・読者には伝わっていないし分かり易くない.とは言え,伊藤案(?)を批判する人達の議論も驚くほどナイーブなので,まったく説得力がない(例えば小幡氏のこれとか).
Tuesday, February 04, 2014
「STAP細胞」を巡る,「一部」の報道への違和感
「リケジョ」についてはわかりませんが,ここら辺の報道の仕方について
* リケジョ、小保方さんに続け ピンクの研究着に夢こめて
* キスでお目覚め「お姫様細胞」 小保方さん、幻の命名案
アカデミックな研究者という同業者としての違和感を書きます。
名前は忘れたが古株のサッカー・ジャーナリストが,日本代表の記者会見で「稲本くん」と呼びかけた若手記者に対し,「ちゃんと『稲本選手』と呼べ」と注意したという話を読んだことがあります。無暗に選手との仲の良さを強調したがる,あの『やっべちFC』の司会者でさえ,番組の中の最初の呼びかけでは,男女とも「香川選手」「川澄選手」と声をかけるのが普通です。
ここでの報道の対象は、早稲田大学で博士号を取得していて,理研という国内の大半の大学を凌ぐ研究実績・研究環境を誇る研究所に属している研究者です。若かろうが女性だろうが,iPS細胞の山中教授と同じく立派なその道のプロです。したがって彼女の研究・仕事について報道するにあたり,「ユニットリーダー」という職名が長過ぎるのなら,小保方「博士」か「研究員」であって,やはり小保方「さん」はないでしょう。アカデミックな研究という世界での常識をある程度分かっている人間なら,やはりそこに,ある種の先入観・目論見が潜んでいると感じない方がおかしい。呼び方という,一番基本的なところで大きな違和感があるので,結局,その他の報道全体に違和感を感じざるを得なくなってしまいます。
また,この件に関する日経の報道は一貫して極めて穏当なものであるので,日本の報道機関全体の問題だとも思いません。日本の大手新聞の一部に,この種のことに極めてニブイ,残念な方たちがいるというのが実際のところだと思います。
PS. なお2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんは,東北大の学部卒で,その後,母校から名誉博士号を授与されたが,ノーベル賞受賞時も現在もあくまで普通の民間企業の会社員。だから「さん」か「氏」で良いし,そうとしか呼びようがない。
Monday, February 03, 2014
内閣府職員が変死、ゴムボートで漂流 韓国で消息絶つ
ネットでは妄想に近い憶測が飛び交っていますが、一応、短期間とはいえ霞ヶ関に身を置いた人間の感覚で言うと:
* 内閣府の経済社会総合研究所に所属の経済職
* ミネソタ大の(恐らく)経済のPh.D.に留学中だった
* 以下の菅長官の説明によると、自分から役所に申請して、許可を得て韓国の会議or学会に出席(=役所の指示で行った訳ではない)
http://www.asahi.com/articles/ASG233SB5G23UTFK001.html
ということだと、外交とか諜報活動とかいった話とはまったく無縁の立場だっとしか考えられない。つまり、1%くらいはとんでもない国際的謀略に巻き込まれた可能性がなくは無いですが、普通に考えれば、私事でトラブルに巻き込まれた、もしくはトラブルを引き起こしたと推測せざるを得ないのではないかと。
Thursday, January 30, 2014
経済セミナー2月・3月号
昨年12月、久保田先生(中央)・筒井先生(阪大)・大垣先生(慶應)のご協力を得て開催した、日本ファイナンス学会の特別研究観望会「2013年ノーベル経済学賞 ファーマ、ハンセン、シラー教授の資産価値の実証分析への貢献」の模様を掲載した『経済セミナー』の2・3月号が出版されました。
http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_keisemi.html
なお当日配布したが、紙幅の関係で『経セミ』では大幅にカットせざるを得なかった私の解説論文のフルバージョンも、ディスカッション・ペーパーとして発行しました。勉強熱心な学生さんは、こちらもぜひ。
http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/publication/DP2010-2014.html#1
Thursday, January 09, 2014
Favorite Music CDs in 2013
- Charles Lloyd / Jason Moran, Hagar's Song, ECM.
- Geri Allen, Grand River Crossings: Motown & Motor City Inspirations, Motéma Music.
- Dave Holland, Prism, Dare2 Records.
- Boz Scaggs, Memphis, Savoy Jazz.
- Janelle Monáe, The Electric Lady, Bad Boy.
Subscribe to:
Posts (Atom)