Wednesday, December 26, 2007

今年最後の大仕事

StanfordのKen Singletonに来てもらって、一橋の竹橋キャンパスで特別講義+ミニコンファレンスをやるという、年末の大仕事がやっと終わった。今回の講義で、焦点を当ててもらった金利の期間構造に関するMacro-financeアプローチというのは、ものすごい勢いで発展している非常に重要な分野でありながら、日本は世界水準からかなり遅れている状態であったので、これを機会に、日本でもどんどんと若手が参入してくれれば良いなと思っています。非常に有意義なレクチャーであったと自画自賛できる内容だったと思いますが、惜しむらくは、座って聞いてるだけのほうが楽だったし、自分のためになっただろうという気がします。

Thursday, December 13, 2007

NHKスペシャル「ワーキングプア」

以前,見たような気はしていたのだが,今週の月曜日にまとめて再放送をやっていたので,妻と一緒に全部見た.
 結論から言うと,「うーん違うんじゃない」という感じ.確かに表面上は「ワーキングプア」という言葉でくくれるにしても,経済学的に明らかに異なる原因を持つ問題の結果だけ捉えて,「格差が広がっている」,「格差を是正せよ」というトーンでまとめるのはどうかと思う.あの番組が「ワーキングプア」と総称していたものの中には,少なくとも,

 1.大都市と地方の格差の広がり
  (というか地方都市の衰退)
 2.25年勤続しないと支払われない年金制度の問題
 3.グローバリゼーションによる特定の産業の衰退
 4.大都市における家族・地域共同体

といった複数の,明らかに本質的に原因が異なる問題が含まれている.

それぞれについて言いたいことはあるが,とりあえず1と3に関して言えば,小泉政権以前の自民党は,夕張市の現状に象徴されるように,地方や衰退産業を頑なに保護しようとし続けて,し続けて,結局,日本全体の政治経済システムを疲弊させてしまった.小泉改革は性急だったかもしれないが,逆にいえば,もっと以前にやっておくべきだった改革を詰め込んで,一つの政権でやったからそうなってしまったということ.別に小泉は好きではないが,かと言って時計を反転させましょうというのは,OLD LEFTのアナクロニズムもいいところだと思う.

Wednesday, December 12, 2007

Feldsteinの後継者

NBER(http://www.nber.org/)はハーバード、MITを中心とした、ボストンに本拠を置く世界的に有名な経済学のシンクタンクである。ただ、いわゆる日本のシンクタンクとは違い、いろいろな大学に属する世界のトップの研究者が学会以外の場でコンファレンスを行ったり、研究成果を本にして出版したりということのプラットフォームを提供している、非営利の一大研究組織である。経済学の中では物凄く影響力があって、ここの出しているワーキング・ペーパーは、下手な学術専門誌より余程注目度が高い。
 そのNBERのpresidentを30年に渡って務めてきたのが、ハーバードのMartin Feldstein教授で、BernankeとともにFRB総裁の候補の一人に挙げられていたし、この先ノーベル賞をもらう可能性もある、まあ一言で言って「とても偉い」経済学者である。しかし彼も年なので、NBERのトップをもうすぐ辞するらしいという噂は聞いていたのだが、最近、Economistを読んでいたら、次のpresident募集の広告が載っていた。まあアメリカらしいというか何というか(http://www.nber.org/reporter/2007number3/feldstein.html)。

Wednesday, October 31, 2007

20年経って分かること

最近のアメリカの男性向けファッション誌に,Jeff SachsがU2のBonoと一緒におどけた表情で写っている写真が掲載されていた.経済学者としてのSachsは,大学院進学前後の一時期,偶像化して考えていた時期があっただけに,なんとなく複雑な心境にさせられた.1980年代の一時期には,私だけでなく,かなり多くの人がSachsを経済学の未来の担い手と考えていた時代があったはずなのだが….

まあ世の中,20年経たないと分からないことは他にもある.例えばMadonnaは一発屋で,後世に残るのはシンディ・ローパーだと思っていたが,実際は逆だったこと(今でもシンディは良い歌手だけど).Rolling Stonesで一番のWell Dresserは,ミックでもキースでもなく,チャーリー・ワッツであること.

Wednesday, October 17, 2007

ノーベル経済学賞の予想

ここ数年,付き合いのある新聞の編集者にノーベル経済学賞受賞者の予想を尋ねられると,「国際貿易でBhagwati, Dixit, Krugman」と答えてきた.国際経済学での受賞は99年のMundell以来いないし,貿易に限ればOhlinとMeade(二人とも故人)以来いない.業績から見ても妥当だというのは衆目一致するところだが,同時に一番若く業績も華々しいPaul Krugmanについて,近年の言動に眉をひそめる人が多いことも確かで,そのために特に受賞が遅れているという見方すらある.とはいえ,今年のMaskinとMyersonはともに1950年代の初めに生まれているので,Maskin達より少し年下のKrugmanを含めた3人の共同受賞というのが,来年も一番可能性としては高いのではないだろうか.

かつては,Fisher Blackについてそのような見方がされていた節があり,MertonとScholesがノーベル賞を授与されたのは,Black が亡くなって数年後である.ファイナンスの学者の間では,Mertonとは甲乙つけ難いが,ScholesよりはBlackの方がずっと評価が高かったのは間違いない.

今年のノーベル経済学賞は

Hurwicz,Maskin,Myersonの3人が,メカニズム・デザイン理論の基礎の構築という理由でもらった.今年の受賞者はほとんどノーマークだったらしく,日本の新聞社もかなり慌てていたようである.Hurwiczは年を取り過ぎて時期を逸した感があったし,ゲーム理論系の受賞は最近多いので,後の二人は逆に10年先でも別におかしくなかった.

他の二人は全く面識はないが,Maskinはハーバード時代に1年目のミクロとゲーム理論の授業をとって,向こうは覚えていないだろうが,のこのこ研究室に質問に行ったことも何度かある.ハーバードといえども教授の全員が天才というわけではないのだが,Maskinは間違いなく天才だし,物腰が非常に柔らく学生もとっつきやすい,凄く良い人だった.それが裏目に出たのか,博士論文の審査委員会を作るときに3人目が足りないと,学生にお願いされて引っぱり出され,明らかに専門外の論文の審査に加わったりして,最後はそういう役回りが煩わしくなって,Princetonの研究所に移ったと噂に聞いている.逆に言えばあまりに頭が良すぎて,本当の意味で彼に知的刺激を与えるような学生は,Harvardといえどもそうそう数はいなかったと思う.

Thursday, October 11, 2007

浦沢直樹『21世紀少年』の下巻

を通勤電車の中で読み終わる.買ってはあったのだが,雑用に追われて,いままで読む時間がなかった.

「風呂敷を広げるだけ広げて畳まない(畳めない)」と言われて久しい浦沢だが,それでも今になって考えれば『Monster』は最初が面白すぎただけで,それなりにちゃんとケジメをつけていたと思う.しかし『20世紀少年・21世紀少年』は,いくらなんでも中途半端過ぎるな.「ともだち」がハルマゲドンを目指した理由がまったくピンとこないのが致命的だし,ケンヂの姉がなぜ「ともだち」と結婚することになったのか等,本当は物語の中で決着をつけておくべきだった伏線というか風呂敷が多すぎる.作者が飽きちゃったのかな?.「風呂敷を畳めなくなる」のは,石ノ森正太郎のサイボーグ009の「神々との戦い編」等,過去にいくらでも例があるし,さほど責める気にもならないのだが.

まあ『PLUTO』頑張ってください.

Friday, September 14, 2007

Roy Hargrove

9月11日(Tue)、BlueNote東京でRoy Hargroveを聴く。Straight Jazzのコンボでの演奏を聴くのは、2003年にNYに長期滞在した際に、初めてVillage Vanguardに行った時以来。やはりトランペッターとしては圧倒的に上手い。だが良くも悪くも捻りのないStraight Jazzに終始する人なので、いま一つCDに手が出ない。それでもライブでは、音楽的に変な拘りがないところが、逆に圧倒的な迫力につながっていて素晴らしかった。
BlueNote東京は予約システムの改良や、マイナーな内装の改装を行ったおかげで、大分居心地が良くなった。

Friday, September 07, 2007

男児を置き去りにしたままバス車庫入れ

『小田急バスの運転手が先月24日、車内で寝込んでいた塾帰りの小学校の男児を置き去りにしたままバスを車庫に入れ帰宅していたことが分かった。男児は約1時間にわたって車内に閉じ込められた。』

筑波大学時代、筑波センターから東京駅に向かう高速バスの中で爆睡し、周りはみんな降りてしまった後に取り残されて、そのまま東京駅のバスの駐車場で外から鍵を締められてしまった経験がある。目が覚めてから焦って、窓を叩いて降ろしてもらったが。

でまあ、この事件、バスの運転手も注意不足だが、やはり寝過したガキの方がより間抜けだ。

Wednesday, September 05, 2007

『ボボボーボ・ボーボボ』

そういえば加納先生に教えてもらって,しばらく中毒になった『ボーボボ』も,『真説ボボボーボ・ボーボボ』になってからパッとせず,結局ジャンプで打ち切りになっていたようだ.何か切ないなあ.この週末,勢いの良かった最初の方の巻をひっぱり出して,読んでみようかと思う.

夏の終わり

今年は猛暑だったせいか,8月の後半に親しい知り合いが相次いで亡くなった.二人ともかなり前から体調を崩されていたので,心のどこかで半ば覚悟はしていたのだが,かなりお世話になった人達だったので,非常に辛い夏の終わりになってしまった.

合掌

Wednesday, August 01, 2007

Arsenalは

いつの間にか,アンリに加えてリュングベリも放出していた.なんかすっかり別のチームになってしまったなあ.アンリたちに加えて,ベルカンプ,シーマン,ピレス,ヴィエラ,オーフェルマウス,カヌといった連中がいたころが懐かしい.しかし,引退した連中を除くと,移籍先で十分活躍したのはヴィエラくらいで,結局ベンゲルは正しかったのかも.
今のチームもフレブ,セスク,ロシツキーといったあたりは大好きなんだけど,バプティスタもマドリーに戻るみたいだし,アタッカー陣は大丈夫か?

Tuesday, July 24, 2007

男性ファッション誌

昼飯に出たついでに,今月もまた増田書店でUOMOを買ってしまった.自分の普段着ているものファッションの方向性とは違うのだが,開き直ったミーハーさが性にあうのと,あと阿部寛は何か同級生のような気がして…。次に良く買うのはOCEANSだが,ちょっと気取りすぎ.昔はBRIOをよく買っていたけど,こちらは気取りに加えて,プチブルがライフスタイルで一般大衆との差別化を図ろうというニュアンスが,今となっては鼻につく.
 しかしまあ,よくもこんなに中高年向けの男性ファッション誌が増えたもんだ.それだけ着るものに気を遣う中年が増えたとも言えるが,同時に自分が「ハイソサエティ」の一員であるフリをしたくてしょうがない小金持ちが,近年むやみに増えたという側面も強い.

Thursday, July 12, 2007

日銀、金融政策の現状維持を決定

まあ妥当な判断なのでしょう.

そもそもBISの「円は安過ぎる」という,何をどういう根拠で言っているんだかよく分らない前振りがあって,それに円のキャリー・トレードに関する漠然とした不安/反感が加わって,これはフクちゃんが利上げして,一気に円高方向へ修正されるに違いないとマーケットが読んでの,直近の急激な円高.それが8対1の圧倒的多数の現状維持決定で,直後に大幅円安.

選挙の直前なので利上げが無かったという読みはありえるが,やはりこれは秋までは利上げは無くなった公算が極めて大きい.

一方,2・3日前のブルドックソースの買収防衛策を認める判決は,裁判所は一体何を考えてるんだか,さっぱり分らんかった.まあ,まだ最高裁があるからどうなるかは分りませんが.

Wednesday, June 20, 2007

学会での服装

先週末,日本ファイナンス学会の大会が慶應であった.この学会は,そこそこ実務家も多いので,アカデミックな学者の服装との対比が面白い.大学の先生は,ある意味普段はどんな格好をしていても構わないが,学会は重要なハレの場であるので,特に発表する人はスーツを着てくることが多い.一方実務家は,学会といえども週末は週末,みなさんカジュアルな服を着て来る.
 まあくそ暑かったので,学会全体がクールビズでも良かったのではないかと思うのだが,あるセッションで,アロハシャツにジーンズ+スニーカーが2人もいたのにはちょっと驚いた.学会発表は,ぬいぐるみショーや野外コンサートではないので,できればポロシャツ+チノパンくらいまでにしておいて欲しいんだけどな.

Tuesday, June 19, 2007

「右から来たものを左へ受け流すの歌」

最近のマイブームは何といっても,ムーディ勝山の「右から来たものを左へ受け流すの歌」である.これはまさに,職場で上から降ってくる雑事に対する,私の心構えをそのまま歌にしたといってよい.お偉いさんが会議で訳のわからないことを言っている間,小声で「突然やって来た~,右からやって来た~,僕はそれを左へ受け流す~」と呟いて,気を紛らわしているのである.

しかし問題は家庭内である.最近,奥さんが喋っているときにも,つい「チャチャチャ,チャチャチャラチャー」と鼻歌で歌ってしまい,奥さんはそれが「右から来たものを左へ受け流すの歌」であることを知っているので,ふと気がつくと,私のことを睨んでいるのである.

Tuesday, May 29, 2007

松岡利勝農水相が自殺

しかし,文科大臣は「死人に口なし」とか口走ったり,前首相は明るいグレーのスーツに明るいムラサキのタイで弔問に駆けつけたり,教育再生云々を言う前に,政治家たちが自分達の立ち居振る舞いを見直した方が良いんじゃねえか?

Wednesday, May 23, 2007

奥さんが海外出張

に行ってしまったので,半分くらい独身時代に戻って,自分のペースで生活している.好きなペースで仕事ができるという意味では,この方が楽だが,半面,TVを見たり,ネットをしたりといったプライベートでの時間の使い方にメリハリがなくなって,結局,仕事の効率が良くなっている訳ではない.難しいわなあ.

Monday, May 07, 2007

フランス新大統領にサルコジ氏

...って,どうしてもジャン・アレジに見えるのだが.

Saturday, May 05, 2007

明日は何とか気を取り直して

しかし,関係論文をダウンロードしているうちに,そのうち自分でやるつもりで手が回っていないテーマについて,どんどん新しい論文が出てきていることに気がつき,また落ち込む.精神衛生に悪いので,今日はこれくらいにしておこう.

GWも仕事

GW後半の連休最初の一日は,衣替えや部屋の片付けで終わってしまう.二日目は奥さんとハイキング.今日の午後からやっと大学へ出て仕事(研究)を始める.というか,4月以降,大学院教育担当の専門委員になって雑用が激増した上に,6月末の国際コンファレンスの準備もあって,それに授業の準備の時間も入れたら,ほとんどウィークデーは研究ができなかった.4月の初旬に受け取っていた,自分の投稿論文に対するレフェリーのレスポンスに初めてまともに目を通してゲンナリしている始末.いろいろ関係論文をダウンロード・印刷して,本格的に仕事のエンジンが掛かりきらないうちに,今日も一日が終わってしまう.

Thursday, April 05, 2007

『ブッシュのホワイトハウス』その2

Bush Jr.のイラク侵攻がそもそも間違いだったという点はさておき,フセイン政権打倒のためにイラクを攻めなければならなかったとして,ではブッシュ政権は何を失敗したかという点についてのウッドワートの分析を総合すると次のようになる.

1.フセインとその取り巻きは取り除くべきだったが,それ以外の軍と警察の下部組織は治安維持,ひいては国家再建のために残すべきだった.

2.同じ理由で,バース党の解体はもっと慎重かつ漸進的に行うべきだった.

3.占領の初期に,アメリカ軍をもっと大量に派遣して治安の絶対的な安定化を図り,その間に強固な民主的政権を樹立した後,徐々に,しかしすみやかに撤退するべきだった.

この本の内容の大半が,まあ薄々思っていた通りなのだが,1つ発見は,ラムズフェルドのイラク戦争構想が「とにかくフセイン政権を倒して,その後のイラク国家再建など気にせず,とっとと撤退」というものであったことだ.
 したがってウッドワートは確かにBush Jr.を強く批判しているのだが,上記の彼自身のイラク占領政策に関する情勢判断は,実はブッシュやライスのそれに近い.そしてブッシュ=ライスと,ラムズフェルドとは明らかに異なっている.今の段階で急に撤退して,内戦状態のイラクを放っぽり出してしまうのもまた,無責任なのである.
 私自身もブッシュは嫌いだし,アメリカのイラク侵攻は全くの間違い「だった」と思っている.しかし,「これからどうするべきか」という問題に関しては,「即時撤退」という聞こえのいいスローガンが,実はイラク国内でもっとも悲惨な結果を生みかねない,無責任な意見であることも確かなのである.

Tuesday, April 03, 2007

新しい翻訳書

新しい翻訳書を出しました.中・上級のファイナンスの教科書です.良かったら,本屋で手に取ってみてください.

Danthine and Donaldson著,祝迫得夫監訳『現代ファイナンス分析:資産価格理論』

Tuesday, March 27, 2007

『ブッシュのホワイトハウス』

通勤の電車の中で『ブッシュのホワイトハウス』の上巻を読み終わる:
この世の中には,非常に賢いが,性格等の問題で決して組織のトップにはなれない人がいる.逆に,本人はさして優秀というわけではないが,育ちがよくて人好きがして,そのために友人・部下に恵まれて,リーダーとしては上手く機能する人もいる.ブッシュJrは,後者の素養を十分持っている人なのだろうと想像するが,しかし,まず副大統領としてチェィニーを選び,重要なポストの官僚として,よりによってラムズフェルドを選んでしまった.
 『ブッシュのホワイトハウス』の主人公は,ある意味,ブッシュよりも,前者の典型であるラムズフェルドである.Arrogant(傲慢,尊大)という単語は,この人を描写するためにあるのではないかと思うほど,明らかに人格に問題があるラムズフェルドが,かくも長きに渡って主要閣僚を務め,イラク戦争を牛耳ったことはブッシュ政権の決定的な失敗/敗北の要因といえよう.小泉政権以降,日本でもポリティカル・アポイントメントが盛んになってきたが,アメリカ流の人事制度が,時に致命的な失敗をもたらすということも確かなのである.

Monday, March 26, 2007

Happy Feet

早々に前売り券を購入済みの奥さんに付き合って,週末,ペンギンのアニメ映画を見に行く.細部にまで神経の行き届いたペンギンの描写と,アメリカのポップ・ミュージックの本歌取り(?)になっている挿入歌が素晴らしい.最初の3/4はこれまで見たアメリカのアニメ映画の中でも,ベストといっても良いほどの出来.ただ最後の1/4で,主人公のペンギンが,魚が減少している原因を突きとめるために南極を離れてから話が迷走し始め,最後は大風呂敷を広げておいて,結局,無理矢理たたもうとして尻すぼみに終わるといという典型的な展開になってしまった.
 環境問題にコンシャスなのは良いことなのだろうけど,やはり前提として,1つの映画として完成度が高くないとしょうがない.アル・ゴアの「不都合な真実」の(数少ない)悪影響か?

Thursday, March 22, 2007

カメラマンの鴨志田穣さんが死去

西原理恵子の元旦那の鴨ちゃんが亡くなったそうだ.りえぞうの漫画で,二人の出会い―結婚―二人の子供の誕生―アル中/病気―離婚―復縁という流れを,リアルタイムに近い形で見てきただけに,何か隣の家の話みたいで非常に切ない.二人とも,自分よりちょっとだけ年上で,自分の所の夫婦関係に重ね合わせて考えてしまう部分もあるだけに,さらに切ない.

これを書きながら聞いているのは,Bob Dylanの曲をカバーしたBryan Ferryの新譜だが,この元祖チョイワル親父は,鴨ちゃんより約20歳年上で,往時の勢いよりは衰えたにせよ,まだベロンベロン(?)に現役な訳だ.Bob Dylanは,それよりさらに5歳くらい年上のはずだが,去年,Modern Timesという凄いアルバムを出しているしなあ.やっぱり,42歳というのは早過ぎるよな...

Friday, March 16, 2007

堀江被告に実刑 懲役2年6月

アメリカなら懲役10年以上でもおかしくないし,やはりいろんな点から考えて有罪にはなるだろうと思っていた.しかし,ライブドア事件以前の法整備に大きな穴があったことは間違いなく,それを前提とすれば,後出しジャンケンのような判決と言えなくもない.それでいて民事の損害賠償請求の判決は,結構,軽かったりしそうだからなあ.なんだかなあ.

確定申告

3時間あれば大丈夫とたかを括っていたのだが,領収書の計算が終わって次の作業に移ろうと思った時点で,研究室に持ってきていたはずの源泉徴収票や支払調書が全部見当たらない.研究室を2時間近く引っくり返して探してもないので,ひょっとしてとお家に帰って探したら,デパートの手さげ袋の中にまとめたままのものを発見.この時点で午後7時半.
 その後,家の奥さんのコンピューターで,国税局のHPに繋いで残りの計算を終える.ところが今度は紙がなくて,再びパニック.15分ほどして用紙を発見して,印刷しようと思ったら今度はインクがない.この時点で9時45分を過ぎていたので,今から新宿に行ってもヨドバシカメラは閉まってると焦りまくる.しかし,年賀状を刷るとき残り少なかったので,予備を買ってきたのを思い出し,再び家捜しして何とかプリントアウト.エステから御満悦で帰還の奥さんのと入れ違いに外へ飛び出し,駅の反対側の郵便局に辿り着いた時には10時半.その後,奥さんと待ち合わせて,ラーメンと餃子の晩御飯と相成った.

 おかげで研究室はきれいになったが,ヘロヘロになった.まったく自分のアホさ加減に,げろが出そうだよ.

Thursday, March 01, 2007

Richard Bona at Blue Note

学部入試の2次試験の試験監督を終えた後,妻と待ち合わせて,Richard Bonaのライブを聞きにブルーノートへ.CDでは,あまりピンと来るものがなかったのだが,ライブは良いかも知れないという予感はあった.で,大正解.ワールドミュージック系のライブとしては,これまで聞いた中でもベストの部類に入る.ブルーノートでほとんど全員立って踊っているというのも,今まで経験のない状態だった.
 ベースのみ,もしくはボーカルのみでRichard Bonaに匹敵するミュージシャンは何人もいると思うが,それが一つのミュージシャンの中でハイレベルで結実しているという点では,稀有の存在だと思う.その意味では天才だと思う.ただ,それが単なるハイレベルのエンターテイメントの枠を超え,アートとしてどういう影響を及ぼしていくかについては,まだいま一つ見えないところがある.

Saturday, February 17, 2007

最近わかったこと

そんなに頻繁ではないが,しばらく前から私の大学の研究室に,野菜の注文の電話が掛かってくるようになった.大学院の入試の待機で時間が余った時にネットで調べてみたところ,研究室の電話番号が,国立に最近できたある自然食品(?)会社のそれと,1つ違いだということが判明した.ちなみに,そこの社長は元アダルトビデオ会社の社長で,素人のプロジェクトに金を出資するテレビ番組で結構有名だったので,私も名前くらいは知っていた.
 だからどうしたと言われても困るんだが,留守電に「注文したトマトの大きさについて確認しろ」とか言う,農家のおじさんのメッセージが入っていると,やはり面喰うんだよなあ.実害という意味では,ワンルーム・マンションの売り込みの方が,よほど深刻ではあるんだが.

Friday, February 16, 2007

ハーバード大,初めての女性学長を指名

ハーバード大学が,問題発言その他で辞任したサマーズの後任の学長として, ドリュー・ファウスト(Drew G. Faust)という歴史学者を選出した.http://www.news.harvard.edu/gazette/2007/02.15/99-president.html

開学以来の初めての女性学長である.ファウストは,Bryn Mawr College という女子大の学部を卒業後,ペンシルバニア大学で修士号と博士号を取得し,その後ずっとペンシルバニア大学で教鞭をとっていた.2001年にラドクリフ・インスティチュートに移り現在に至る.
 ちなみにラドクリフ・インスティチュートの前身は,ラドクリフ・カレッジであり,大分以前から事実上ハーバード大学の一部になっていた女子大である.1999年にラドクリフ・カレッジは,正式にハーバード大学の一部になった.ラドクリフ・カレッジの卒業生には,SF作家のル・グウィン(「ゲド戦記」シリーズで有名),歌手のボニー・レイットなどがいる.また,小説/映画「ある愛の詩」で,白血病で死んでしまうヒロインはラドクリフ・カレッジで,男の方はハーバードの学部生である.
 さらにちなみに,私が留学した最初の2年間住んでいたのは,ラドクリフ・カレッジの寮であった.この寮には,ハーバードのEducation Schoolの女の子がたくさんいるので,朝食・夕食時に食堂でおしゃべりするのが楽しく,英語が上手くなる.と言って,ラドクリフ・カレッジの寮に入ることを強く私に勧めたのは,当事の指導教官である,現在,某国の経済財政諮問会議の委員である東大教授であることはあまり知られていない.

Monday, February 12, 2007

不都合な真実 / An Inconvenient Truth (映画)

連休の中日,奥さんと日比谷に,アル・ゴアの話題の環境問題映画を見に行った.なんと満席で,隣同士の席を押さえられず,私は最前列の一番端で見る羽目に.みなさんまったく熱心だこと.
 この映画についてのWeb上の世評を見ると,むやみやたらに絶賛したり,逆につまらない教育ビデオだと腐したりと,反応が両極端に分かれている.そういう訳であまり期待してもいなかったが,恐れていたほど詰まらなくもなかった.結局やはり,ゴアはアメリカの政治家だし,彼のメッセージはなんと言っても,環境問題における世界最大の問題児であるアメリカの,自国民に向けられている.ゴアは世界を行脚して回ってはいるが,同時に地球温暖化問題に関しては,自国(と中国)が問題解決の決定的な鍵を握っていることを客観的に指摘しており,そこはまったく間違っていない.まあ,やはり全体として言えば,あの国の人たちは決定的に認識不足なのですよ.少しひねくれているかもしれませんが,そういう見方をすれば,そこそこ楽しめる映画だとは思います.

Tuesday, February 06, 2007

My All Time Favorite (順不同)

Miles Davis,The Complete Live at the Plugged Nickel 1965
コメント: ジャズ界のロゼッタ・ストーン.Miles名義だが,演奏ではShorterが圧倒している.

Wayne Shorter,Speak No Evil
コメント: Shorterのmaster piece

Bill Evans,Explorations
コメント: ラファロ、モシアンとの四部作の中では一番好き

Dave Holland,Conference of the Birds
コメント: ジャズにおけるアバンギャルド(フリーではない)の最高傑作のひとつ

Brad Mehldau,Live in Tokyo
コメント: Keith Jarretのソロは余り好きではないにもかかわらず,なぜMehldauにはここまで惹かれるのかは,自分でも良く分らない.

Pat Metheny,Bright Size Life
コメント: Methenyはものすごく好きだと言うわけではないんだけど,これだけは別

Miles Davis,A Tribute to Jack Johnson
コメント: 電化マイルスの一押し

Duke Ellington,Money Jungle
コメント: ピアニストとしてのElligntonの凄さ

Monday, January 29, 2007

Contemporary Jazz (1990年代以降のお薦め)

引き続き,比較的最近のお薦め/お気に入り

アーティスト/アルバム名
Brad Mehldau/Live in Tokyo
Dave Holland/Prime Directive
Cassandra Wilson/New Moon Daughter
John Scofiled/Works for Me
Keith Jarrett, Gary Peacock, Jack DeJohnette/Inside Out
The Bad Plus/These Are the Vistas

Jazz for Beginners

ゼミの打ち上げでリクエストがあったので,まったくの初心者向けのジャズのアルバム・ガイド

まずベタですが,絶対に外れのないところで:
アーティスト/アルバム名
Miles Davis/Kind of Blue (小編成バンド)
Bill Evans/Waltz for Debby (ピアノ・トリオ)
Helen Merrill with Clifford Brown (ボーカルもの)

上の3枚を聞いて気に入ったら,もう少しバラエティに富んだものを:
Art Tatum/The Tatum Group Masterpieces, Vol. 8
(ピアノ+サックス,古め)
Joe Henderson/Page One (小編成バンド,サックス中心)
Herbie Hancock/Maiden Voyage (小編成ピアノ中心,オサレ+クール系)
Duke Ellington/Ellington at Newport 1956 (ビッグ・バンド決定版)

Thursday, January 25, 2007

シック・トレイン症候群?

中央線に投入された新型車両がいよいよ増えてきたのだが,何かいまいち居心地が悪い.新しいせいか変な匂いがするような気がする.特に夜遅く帰宅するときに乗りこむと,外気との温度差のせいか匂いがきつくて,ウッとすることが多い.
それと中央線は基本的に通勤電車なので,車両内はもう少し落ち着いた色にして欲しい.

Monday, January 22, 2007

センター試験

それにしてもセンター試験の監督は疲れる.特に去年のリスニング試験導入以降,第一日目は実質10時間以上働いている勘定になる.休み時間も昼食時間も減ったし,半分は立ちっぱなしだし,ちょっと幾らなんでも負担が大きすぎると思う.超過勤務手当てが出るとはいえ,せいぜい一日で勘弁してもらいたい仕事である.とにかく国立大学の教員をやっていて,一年で一番欝になる週末だ.

Thursday, January 18, 2007

日銀、利上げ見送り

まあ,そうせざるを得ないでしょうね.もう一度,速水総裁時代の間違いを犯して,万が一,景気が腰折れしたら,それこそ政府に人事への介入の口実を与えて,日銀プロパーの総裁なんてこの先,30年無くなるでしょう.
東京の不動産は確かにバブルってるけど,海外の不動産市場の影響が大きいし,現時点での景気減速のリスクとインフレ・リスクを比較したら,明らかに前者の方が大きい.

Monday, January 15, 2007

そう言えば…

もう,3-4年前に心臓発作で亡くなったRobert Palmerも似たような年齢だったよな.でも年上のDavid BowieやBryan Ferry(ブリティッシュ,チョイ悪オヤジ括り)は,まだ全然現役だもんなあ.

Michael Brecker白血病で死去

ああ,結局,駄目だったのか….

ファンではなかったけど,結構CDを持っているし,NYでライブも数回聞いた.57歳というのは,今の世の中,死ぬには若すぎるなあ.20歳年上のSonny Rollinsが引退したばかりで,Wayne Shorterは70歳を超えて,まだ現役バリバリ.Breckerも健康なら,少なくともあと10年は現役でやれたろうに.

Thursday, January 11, 2007

2006年のMy Album Best 5 (順不同):

- Pat Metheny + Brad Mehldau, Metheny Mehldau, Nonesuch.
- Corinne Bailey Rae, Corinne Bailey Rae, Capitol
- Medeski, Scofield, Martin, Wood (MMW+John Scofield), Out Louder, Indirecto.
- Madeleine Peyroux, Half the Perfect World, Universal.

去年は、今更ながら初めて聞いてヘビーローテーションになったアルバムが多数だったので、第5位の変わりに:
- Radiohead, The Bends, Capitol.
- Linda Ronstadt, The Very Best of Linda Ronstadt, Warner.
- Madeleine Peyroux, Careless Love, Universal.
- Olu Dra, In the World: From Natchez to New York, Atlantic.